●江戸明治和本●神代道しるべ(中本) 【判型】中本1冊。縦184粍。 【作者】染崎延房(為永春笑・為永春水2世・狂仙亭)作・序。小室樵山書。 【年代等】明治6年春自序・刊。［東京］青松軒蔵板。相模屋七兵衛ほか売出。 【備考】分類「往来物」。『神代道しるべ』は、神代より神武天皇即位までの歴史を神話伝承によって紹介した往来。「かけまくも最(イト)も恐(カシコ)し天地(アメツチ)の、まだ判らざる大虚空(オオゾラ)に、成まさる神の御名を、天之御中主の神と言ふ…」で始まる七五調の文章で、天地開闢以来の神々と歴史のあらましを述べ、「…然れば、入学の始めには、先皇国の道を学び、しかして漢土(モロコシ)の書に渡り、異国の学をも做さんには、本然の智を弘ろむべし。実(ゲ)に一日の怠慢(オコタリ)は、千日の悔なきを得ず、あはれ世間童蒙の輩、今此一句を妄失せず、勉めて習学すべしとぞ」と結ぶ本文を4行・付訓で記す。また巻頭3丁に日本神話の天地開闢・国土創造の図解を施すが、第1図は高天原に相次いで「天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)」「高御産巣日神(タカミムスビノカミ)」「神産巣日神(カミムスビノカミ)」の三柱の神(造化の三神)が生まれた場面、第2図は「可美葦牙彦舅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)」「天之常立神(アメノトコタチノカミ)」の二柱の神が生まれた場面、第3図はイザナギ(伊弉諾尊)とイザナミ(伊弉冉尊)の二神が高天原の神々に命じられ、日本列島を構成する島々を創成する場面、第4図は「大八島(オオヤシマ)国」、すなわち、『古事記』で言う日本国の8島(倭豊秋津洲(本州)・伊予二名州(四国)・筑紫(九州)・淡路・壱岐・対馬・隠岐・佐渡)の図、第5図は天照大御神(アマテラスオオミカミ)が高天原を司り、月読命(ツクヨミ・ツキヨミ)が夜見国を司る図。 ★原装・題簽付・概ね美本。比較的稀書。【参考価格（初出品時の相場です）：日本の古本屋で、4万5760円】。